日本の住宅

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著者の吉田鉄郎とは、前鳩山総務相の「トキを焼き鳥にするのか」発言をした東京中央郵便局の設計をした建築家でもあります。
もともとドイツ語で書かれて1935年に出版されロングセラーになっていたそうで2002年に日本語訳され出版されたという少し不思議な本です。
当時西欧では日本文化にとても関心があったから売れたんでしょうし、当時の日本では当たり前の事を書いていたのだから日本で売れはしなかったでしょう。でも今になると、当時の住宅事情というのは分からなくなってしまったから日本で出版されたんでしょう。
この経緯からも分かるように、日本の住宅、建築というのは西欧化と大戦の前後で大きな断絶をしてしまっています。建築だけじゃなく日本人の在り方全てなのですが。。
その前後をつなげさせないようにアメリカに色々洗脳されてしまい、今の日本人はその前の美しい日本の、日本人の姿を前向きに捉える事はほとんどできなくなってしまっています。
でもでも、それは僕はとてもとても大きな問題だと思っています。
その「断絶」をいかに少しでも意識し、復古すべきだなんて思いませんが、良き引き継げる部分だけでもきちんと受け止めないといけないと思います。
やっぱり文化というのは、そんな連続性のもとに存在し得るわけで、今の日本には残骸としての日本文化はあっても生きた日本文化はほとんどないんじゃないでしょうか??

ま、そんな事を考えていたので買っていた本なのですが。
前に書いたブルーノタウトの本と同じ背景だし当人同士の交流もあったようですが、当時の日本の住宅建築の美しい姿が描かれていますし、今の時代に文化財を評価するような視点ではなく、当時の生きた言葉として語られているのがとても新鮮に感じました。

一つ特に印象的だったのは、今では昔の木造とか木の窓が隙間だらけで欠陥のように言われているのが、本書では、西洋の建築に比べ、通気性に優れ、人間に必要な換気性能が優れている、と評されています。今は計画換気とかなんとか言って、無理矢理換気扇を付けさせる法律になってしまっていますが、24時間本当に換気扇を回している住宅がどれだけあるでしょうか?

過去を語れない人間に未来を語る資格は無いと思っていますが、なんだか未来を語る声ばかり聞こえる世の中のように、悲しく思います。
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by Moriyasu_Hase | 2010-03-14 21:32 | けんちくーよむ
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